会議の「後処理」に追われる時間をゼロにする
会議が終わった後、こんな作業に追われていませんか?
- Zoomの録画を保存する
- 議事録をまとめる
- 要点を要約してチームに共有する
- GoogleカレンダーやSlackに結果を記録する
- メールで会議内容を送る
この一連の作業は地味ですが、積み重ねると膨大な時間になります。
AIと自動化ツールを組み合わせれば、これらを完全に自動化することが可能です。
つまり、**「Googleカレンダーに予定を入れるだけで、Zoom開催→録画→文字起こし→要約→メール配信」**が完了する仕組みを作れるのです。
この記事では、エンジニアでなくてもできる方法として、
ChatGPT、Whisper、Zoom、Make(またはZapier)を活用した全自動会議アシスタント構築法を紹介します。
会議の後処理が抱える3つの課題
1. 録画や議事録共有に時間がかかる
会議後にZoomの録画をダウンロードし、クラウドにアップロードして、
「このURLが録画です」とSlackやメールで送る作業。
わずか数分でも、1週間・1ヶ月と積み重ねるとかなりの時間ロスになります。
2. 要約精度が人に依存する
議事録を人が手動で作ると、まとめ方がバラバラになります。
重要な部分が抜け落ちたり、書き方が統一されないことも多いです。
AIの要約機能を活用すれば、一定のフォーマットと精度で自動生成が可能です。
3. 情報共有のスピードが遅い
会議が終わっても共有が翌日になることは珍しくありません。
しかし、AIがリアルタイムに議事録をまとめ、メールやSlackで即時配信できれば、
意思決定までのスピードが大幅に短縮されます。
結論:すべてを一つの連携フローで自動化できる
Googleカレンダー・Zoom・AI(ChatGPT+Whisper)・メール配信ツールを組み合わせることで、
「人がやるべき会議後タスク」を完全自動化することができます。
以下のようなフローを構築することで、
あなたのチームは“会議をするだけ”で情報共有まで完結します。
① Googleカレンダーに予定を登録
↓
② Zoomミーティング自動作成・開催
↓
③ 録画データをクラウド保存(Google Driveなど)
↓
④ Whisper(AI音声認識)が自動文字起こし
↓
⑤ ChatGPTが自動要約・整形
↓
⑥ メール or Slackで自動配信
これらは、すべて無料枠でも構築可能な範囲です。
有料プランにすることでさらに高速・高精度にできますが、
まずは無料ツールで試すことができます。
なぜこの仕組みが今注目されているのか
AIと自動化ツールが成熟したことで、
「会議自動化」は企業の業務効率化の最前線にあります。
特に、Google Workspace × Zoom × ChatGPT APIの組み合わせは強力で、
中小企業でも導入コストをほぼゼロで始められます。
自動化による効果(数値で比較)
| 項目 | 従来の手動運用 | AI自動化運用 |
|---|---|---|
| 録画・共有時間 | 10〜15分 | 0分(自動共有) |
| 議事録作成時間 | 30〜60分 | 3分以内(AI要約) |
| メール共有 | 5分 | 0分(自動送信) |
| 精度・統一性 | 担当者に依存 | 一定品質で自動生成 |
1会議あたり約60〜80分の削減が見込めるため、
週10回の会議なら月40時間分の作業が削減できます。
仕組みの基盤:4つのツールを連携するだけ
自動化を構築する際に使うツールは次の4つです。
どれも無料プランまたは無料枠で十分に動作します。
| 機能 | 使用ツール | 役割 |
|---|---|---|
| 会議スケジュール | Googleカレンダー | トリガー(自動化の起点) |
| 会議実施・録画 | Zoom | 録画データの生成 |
| 文字起こし・要約 | Whisper + ChatGPT | 音声からテキスト化・要点整理 |
| 通知・配信 | Gmail / Slack / Notion | 結果の自動共有 |
これらの間をつなぐのが、Make(旧Integromat)やZapierです。
プログラミング知識がなくても、ブロックをつなぐ感覚で設定できます。
各ステップの役割と連携の流れ
1. Googleカレンダーがトリガーになる
自動化の起点はGoogleカレンダーです。
「会議」というキーワードやZoomリンクを含む予定が登録されると、
自動的に連携がスタートします。
ZapierやMakeで設定するトリガー例:
Trigger:When a new event is created in Google Calendar
Filter:Event title or description contains "Zoom"
2. Zoomで会議を自動作成・録画開始
GoogleカレンダーとZoomを連携させることで、
カレンダーに会議を登録した時点でZoomミーティングが自動生成されます。
Zoomの「自動録画」設定をONにしておくと、
会議開始と同時に録画がクラウドに保存されます。
3. 録画データをクラウドに保存
Zoomのクラウド録画が完了すると、
「録画ファイルが保存されました」というイベントをトリガーに、
Makeが次の処理(音声認識)を実行します。
Google DriveまたはDropboxなどに自動転送することで、
Whisperがアクセスできる状態を整えます。
4. Whisperで文字起こし(AI音声認識)
OpenAIが提供するWhisper APIは、Zoom録画の音声から高精度で文字起こしを行います。
日本語にも非常に強く、誤認識が少ないのが特徴です。
Make(またはZapier)で設定する場合のフロー:
① Zoom録画完了を検知
② 録画URLを取得
③ Whisper APIに音声を送信
④ テキスト出力を取得
出力されたテキストは、そのままでは長いため、
次のステップでChatGPTに要約させます。
5. ChatGPTで要約・整形
Whisperが生成した長文の文字起こしをChatGPTに送ることで、
数行の要点に整理できます。
ChatGPTへのプロンプト例:
あなたは会議の議事録作成アシスタントです。
以下のテキストを、社内共有向けに3〜5項目で要約してください。
・決定事項とToDoを分けて記載
・文体はシンプルで明瞭に
・重複や冗長な表現を削除
テキスト:
{{Whisperの出力内容}}
ChatGPTが出力した要約文を、
メール本文やSlack投稿用のテキストにそのまま流用できます。
6. 自動でメール配信またはSlack通知
最後に、ChatGPTの出力をメール本文に挿入して、
Gmail APIまたはSlack Webhookを使って送信します。
メール配信の自動設定例(Makeを使用):
| ステップ | 処理内容 |
|---|---|
| ① | Gmailモジュールで新規メールを作成 |
| ② | 宛先:チーム全員のアドレス or 配信用メーリングリスト |
| ③ | 件名:「AI議事録|{{会議タイトル}}」 |
| ④ | 本文にChatGPT要約文を挿入 |
| ⑤ | 自動送信完了通知をSlackへ送る |
Slackを使う場合は、
Webhookを利用して「#議事録」チャンネルに自動投稿することも可能です。
実際に構築する全自動フロー(Make活用例)
ここでは、ノーコード自動化ツール「Make(旧Integromat)」を使った構築例を紹介します。
Makeを使えば、**「カレンダー登録→Zoom録画→AI処理→メール配信」**までをすべて可視化されたワークフローで実現できます。
フロー全体の構成イメージ
Google Calendar(会議予定)
↓
Zoom(録画開始・終了イベント)
↓
Google Drive(録画ファイル保存)
↓
Whisper(音声文字起こし)
↓
ChatGPT(要約・整形)
↓
Gmail / Slack(自動配信)
これらを順にMakeのシナリオ(自動化フロー)として接続します。
ステップ1:Googleカレンダーのトリガー設定
Makeの最初のモジュールとして「Google Calendar」を選択します。
以下の設定を行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント | 新しいイベントが作成されたとき |
| 条件 | タイトルまたは説明文に「Zoomリンク」が含まれる場合 |
| 出力 | 開催日時、タイトル、Zoomリンク、参加者情報など |
この設定によって、「会議予定を作成するだけで自動化が始まる」状態を作ります。
ステップ2:Zoomと自動連携して録画を開始
Googleカレンダーの情報をもとに、Zoom APIを呼び出します。
Zoomには「自動録画をオンにした状態でミーティングを開始する」設定があるため、
これを活用すれば録画を人の操作なしでスタートできます。
Make上で設定する内容:
- モジュール:Zoom → Create Meeting
- パラメータ:カレンダーのタイトル・日時を連動
- オプション:
"auto_recording": "cloud"
これで、カレンダー登録と同時にZoomミーティングが作成・録画設定済みになります。
ステップ3:録画データを取得してクラウド保存
Zoomの録画が完了すると、クラウドにファイルが生成されます。
Makeのトリガーとして「New Recording Completed(新しい録画完了イベント)」を設定し、録画データのURLを取得します。
次に、Google DriveやDropboxのモジュールを追加して、録画データを指定フォルダに保存します。
この工程で、Whisperに渡す準備が整います。
ステップ4:Whisperで文字起こし
録画データをWhisper APIに送信して、音声をテキスト化します。
Whisperは日本語に非常に強く、数分の会議であればほぼリアルタイムに文字起こし可能です。
Makeでの設定例(HTTPモジュールを使用):
POST https://api.openai.com/v1/audio/transcriptions
Header: Authorization: Bearer {{OpenAI_API_KEY}}
Body:
file: {{録画音声ファイルURL}}
model: whisper-1
出力は議事録の生テキストになります。
ステップ5:ChatGPTで要約と整形
Whisperの出力テキストを、ChatGPT APIに送ります。
ChatGPTは、長文を「決定事項・議論内容・次回アクション」に分類してまとめるようにプロンプトを設定します。
ChatGPTプロンプト例:
あなたは企業の会議議事録を作成するアシスタントです。
以下の文字起こしを3つの項目に分けて要約してください。
1. 決定事項
2. 議論のポイント
3. 次回アクション
テキスト:
{{Whisper出力}}
ChatGPTの出力はそのままメール本文やSlack通知文に利用できます。
ステップ6:GmailまたはSlackで自動配信
📧 Gmailでメール送信する場合
Makeの「Gmail」モジュールを追加し、以下のように設定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宛先 | 会議参加者(Googleカレンダーから取得) |
| 件名 | 「AI議事録|{{会議タイトル}}」 |
| 本文 | ChatGPTの要約内容を挿入 |
| 添付 | 録画ファイルの共有リンク |
この設定により、会議終了後3分以内に議事録メールが自動送信されます。
💬 Slackで通知する場合
SlackチャンネルにWebhookを発行し、MakeからPOSTリクエストで送信します。
例:
POST https://hooks.slack.com/services/XXXX/XXXX
{
"text": "📋 *AI議事録({{会議タイトル}})*\n{{ChatGPT出力}}"
}
Slack内の「#会議ログ」チャンネルに、要約が自動的に流れます。
実装に必要なAPI・ツールまとめ
| 工程 | 使用ツール | 無料利用枠 |
|---|---|---|
| スケジュール管理 | Googleカレンダー | 無制限 |
| 会議開催・録画 | Zoom | 無料プランでもクラウド録画可(制限あり) |
| 音声認識 | Whisper API | 数分単位なら無料枠内 |
| 要約 | ChatGPT(GPT-3.5) | 無料API利用可能 |
| 自動連携 | Make | 月1,000操作まで無料 |
| 配信 | Gmail / Slack | 無料で利用可能 |
無料ツールだけでも十分な精度と速度を実現できます。
応用例:さらに便利にするカスタマイズ
- Notionと連携して議事録を自動アーカイブ
ChatGPT出力をNotionページに保存し、会議ごとに履歴を蓄積。 - Googleスプレッドシートでログ管理
会議タイトル・開催日・共有URLを自動記録して管理表を自動更新。 - AI翻訳(DeepL API)と連携して多言語化
海外メンバーがいるチームでは、英訳版議事録を同時生成可能。 - 要約を短文化してSlack通知 + 詳細はDrive共有
Slackには要点のみ、全文はDriveリンクにまとめる構成もおすすめです。
導入の効果:会議からの“情報流通速度”が劇的に変わる
この仕組みを導入すると、
「会議終了 → 数分後には要約と録画が自動共有」という状態になります。
情報共有の遅延がなくなり、
参加できなかったメンバーも即時にキャッチアップ可能。
経営会議・営業ミーティング・開発定例など、
どんな組織でも効率化のインパクトは絶大です。
さらに、議事録をAIが統一フォーマットで出力するため、
チーム全体のナレッジが「検索可能」になります。
今すぐ始められる行動ステップ
✅ ステップ1:各ツールのアカウントを準備
Google Workspace・Zoom・OpenAI・Makeのアカウントを作成。
✅ ステップ2:APIキーを取得
OpenAIのAPIキー、Slack Webhook URLを発行。
✅ ステップ3:Makeでシナリオを構築
「Googleカレンダー → Zoom → Whisper → ChatGPT → Gmail」の流れを接続。
✅ ステップ4:短時間会議でテスト運用
5分程度の会議録画で動作確認し、出力の精度を検証。
✅ ステップ5:本運用に拡張
会議ごとのテンプレート(件名・宛先・チャンネルなど)を調整して、全体に展開。
まとめ:AIが“会議の後処理”を代行する時代へ
会議の記録や共有は、これまで人がやるしかない仕事でした。
しかし、Googleカレンダー・Zoom・Whisper・ChatGPT・Makeを組み合わせれば、
「会議を開く=自動でまとめが届く」環境を簡単に作ることができます。
もはや議事録担当は不要。
AIと自動化ツールが、あなたの代わりに会議のすべてを記録・要約・共有してくれます。
業務の効率化だけでなく、
チーム全体の“思考スピード”まで変わる──
それが、AIと自動化による新しい働き方です。

