記事公開にかかる手間を自動化でゼロにする
ブログやオウンドメディアの運営をしていると、
「下書きをNotionで管理して、完成後にWordPressへコピー」
という作業が習慣化している方は多いでしょう。
しかし、記事の量が増えるほどこの単純作業がボトルネックになります。
タグ設定、URLスラッグ、アイキャッチ、公開日時の調整など、
記事をWordPressに“移す”だけでもかなりの時間を取られてしまいます。
そんな中、**Make(旧Integromat)**を使えば、
NotionのページをWordPressに自動で投稿できる仕組みを作ることが可能です。
つまり「Notionで記事を書いて、公開スイッチを入れるだけ」で、
WordPressに自動投稿が完了する――そんな夢のような自動化フローが実現します。
この記事では、AIライターやコンテンツ制作者に向けて、
「Notion×WordPress×Make」連携による記事自動公開の仕組みを、
具体的な構築手順と実践事例を交えて解説します。
NotionとWordPressを手動でつなぐ運用の課題
手作業による時間ロスとミスの発生
Notionを記事の執筆管理に使う人は多いですが、
WordPressとの橋渡しが手動のままだと以下のような課題が起こります。
| 作業項目 | 所要時間 | ミスのリスク |
|---|---|---|
| 記事のコピー&ペースト | 約3〜5分 | 画像・改行が崩れる |
| アイキャッチの設定 | 約2分 | ファイル名・サイズ不一致 |
| タグ・カテゴリー設定 | 約1分 | 選択ミス・登録漏れ |
| URLスラッグ調整 | 約1分 | 英語化の抜け漏れ |
| 公開日時設定 | 約1分 | 予約投稿ミス |
1記事あたり10分前後の手間がかかる計算になります。
月に20本投稿する場合、年間で約40時間が「WordPressへの移行」に消費される計算です。
チーム運営時の非効率
複数人で記事制作を行う場合、
「誰がWordPressに投稿したのか」「公開済みかどうか」がわかりにくくなります。
Notionでは管理しやすいのに、WordPress側で重複投稿や未公開が発生することもしばしば。
このような問題を解決するには、両ツールのデータを同期させる仕組みが不可欠です。
NotionとWordPressをつなぐMake(旧Integromat)とは
Makeとは何か?
Makeは、アプリ同士をつなぐノーコード自動化ツールです。
Zapierと似ていますが、より柔軟で多段階の処理(シナリオ)を作ることができます。
特徴をまとめると次の通りです:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応サービス | Notion、WordPress、Google Drive、Slackなど1,000以上 |
| 操作方法 | ドラッグ&ドロップでフローを構築 |
| 料金 | 無料プランあり(月1,000操作まで) |
| メリット | 条件分岐・ループ処理・API接続が可能 |
| 日本語化 | UIは英語だが直感的に使える |
Notionページの更新をトリガーにして、
WordPressの「投稿」APIを呼び出すことで記事を自動作成することができます。
WordPressとNotionを連携するメリット
1. 記事の移行作業がゼロになる
Notion上で記事が完成した時点で「ステータス」を“公開予定”に切り替えるだけで、
WordPressに自動反映されるようにできます。
見出し構造(H2・H3)や画像URLもそのまま維持されるため、
コピペ作業やレイアウト崩れを防止できます。
2. チームでの進捗管理が容易に
Notionのデータベースで「ステータス」「担当者」「カテゴリー」を管理すれば、
WordPress側の投稿一覧と自動で同期可能です。
たとえば「下書き」「レビュー待ち」「公開済み」といった進捗を
Notionだけで可視化できます。
3. AIライティングとの相性が抜群
ChatGPTやClaudeなどのAIで下書きを生成したあと、
Notionに貼り付けて整理 → 自動でWordPress公開、という流れがスムーズになります。
AI記事制作と自動化を組み合わせることで、
1人でも月50本以上の投稿が現実的に可能になります。
Makeで自動化を実現できる理由
Makeは、各ツールのAPI(外部通信機能)をノーコードで利用できるのが最大の強みです。
特にWordPressはREST APIが充実しており、
投稿の新規作成・更新・削除・画像アップロード・カテゴリー設定などを外部から制御できます。
Makeで行う処理の流れは以下の通りです:
- Notionのトリガー設定
「記事ステータスが“公開”になったとき」を検出 - データ取得
タイトル・本文・カテゴリー・タグを取得 - テキスト整形
見出し・画像パス・URLスラッグを自動整形 - WordPressへ送信
REST API経由で投稿(下書き or 公開) - 結果の通知
Slackやメールに「投稿完了」と送信
このように、Makeを使えば記事公開までのすべてのプロセスを
条件分岐付きで自動実行できます。
なぜZapierやIFTTTではなくMakeなのか
Makeが選ばれる理由は「構築の自由度」と「コストパフォーマンス」です。
| 比較項目 | Zapier | IFTTT | Make |
|---|---|---|---|
| 処理の複雑度 | 中程度(シンプル) | 低(単発処理) | 高(分岐・ループ対応) |
| 対応サービス | 約6,000 | 約800 | 約1,500 |
| 無料枠 | 月100タスク | 月20連携 | 月1,000操作 |
| ワークフロー可視化 | なし | なし | あり(フローチャート形式) |
| WordPress対応 | △(制限あり) | × | ◎(REST API連携) |
ブログの自動化においては、「1記事ごとに複数データを扱う」処理が多いため、
分岐・繰り返し・条件設定が柔軟なMakeが圧倒的に有利です。
Makeを使ったWordPress×Notion自動連携の実践ステップ
ステップ1:Notionデータベースを整える
まずは、Notion側の下準備を行います。
WordPress投稿に必要な情報をすべてNotionデータベースで管理できるように設計します。
| カラム名 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| タイトル | 記事タイトル | 「freeeとマネーフォワード比較」 |
| コンテンツ | 本文 | Markdown形式で記述 |
| カテゴリー | WordPressのカテゴリー名 | 会計ソフト |
| タグ | WordPressのタグ名 | freee, 会計 |
| ステータス | 記事進捗 | 下書き / 公開予定 / 公開済み |
| スラッグ | URL用英語表記 | freee-vs-mf |
| 公開日 | 公開予定日 | 2025/04/10 |
このように設計しておくと、Make側で取得・整形がスムーズになります。
Markdown形式で書くことで、WordPressへの反映時にHTMLに自動変換することも可能です。
ステップ2:WordPress REST APIを有効化
MakeがWordPressと通信するには、REST APIを利用します。
WordPressの設定で以下を確認しておきましょう。
- 「設定」→「パーマリンク」を“投稿名”に設定
→ 投稿スラッグがURLに反映されるように。 - 「ユーザー」→「アプリケーションパスワード」を発行
→ MakeからAPIアクセスするための認証トークンを取得します。
取得した情報は以下のようにMakeに入力します。
WordPress接続設定例:
URL:https://example.com/wp-json/wp/v2/
ユーザー名:youradmin
パスワード:(アプリケーションパスワード)
ステップ3:Makeでシナリオを構築する
Makeのダッシュボードで「New Scenario」をクリックし、
以下のようなフローを構築します。
🔹 全体のフロー構成
Notion(新しい・更新されたアイテム)
↓
Text Parser(Markdown整形)
↓
WordPress(投稿作成)
↓
Slack(投稿完了通知)
モジュール設定例
| モジュール | 動作内容 | 設定ポイント |
|---|---|---|
| Notion | 新しいページ or 更新を検出 | ステータス=「公開予定」をトリガーに |
| Text Parser | Markdown→HTML変換 | 改行・見出しタグを整形 |
| WordPress | 新規投稿作成 | 「カテゴリー」「タグ」「スラッグ」も反映 |
| Slack / Gmail | 投稿完了通知 | タイトルとURLをメッセージ送信 |
Makeの強みは、処理の可視化と条件分岐です。
「もしカテゴリーが未入力なら‘未分類’で登録」といった柔軟な分岐も簡単に設定できます。
自動化フローの動作例
下のように、Notionでステータスを切り替えるだけで公開が完了します。
| 操作 | 結果 |
|---|---|
| Notionで「公開予定」に変更 | Makeがトリガーを検出 |
| → WordPressに記事投稿 | 記事が下書きまたは即公開 |
| → Slack通知 | 「記事『freee比較』を公開しました」メッセージ送信 |
これで、1クリックでWordPress投稿が完了。
チーム運用なら「進捗・公開・通知」がすべて自動化され、
担当者の確認漏れやダブり投稿を防げます。
応用例:AI生成記事の自動配信
この仕組みは、AIライティングと組み合わせるとさらに強力です。
① ChatGPT APIとNotionの連携
Notionの「タイトル」列にキーワードを入力した時点で、
MakeがChatGPT APIを呼び出し、
自動で記事本文を生成してNotionに書き込むことが可能です。
② AI生成 → WordPress公開の全自動フロー
キーワードを入力 → ChatGPTで本文生成
↓
Notionに自動反映
↓
ステータスが「公開予定」へ
↓
MakeがWordPressへ投稿
これにより、「AIにキーワードを渡すだけ」で
WordPress記事が公開される“完全自動ブログ”を構築できます。
注意点とトラブル対策
| 注意点 | 内容・対応策 |
|---|---|
| API制限エラー | 無料プランでは処理数上限があるため、月間運用量に注意。 |
| 画像の取り扱い | Notionの画像URLは一時URL。WordPressメディアに再アップロードする設定を追加。 |
| 公開ステータスの制御 | Makeでは「下書き」or「公開」の選択が可能。誤公開防止に条件分岐を設定。 |
| HTML整形 | Markdown→HTML変換で見出しタグが崩れる場合は、Regex(正規表現)で調整。 |
| 権限設定 | Makeの接続ユーザーは「投稿者」権限を推奨。管理者権限は避ける。 |
Make連携の運用を安定化させる工夫
- 検証用サイトでテスト
本番前にステージング環境で検証し、誤投稿を防ぐ。 - Slack通知で監視
投稿結果を自動通知して、フローの異常を即時発見。 - バックアップルールを整備
定期的にNotionのデータをCSVでエクスポート。 - 処理ログを残す
Makeの実行履歴を週1で確認し、エラーが出ていないかチェック。
Makeで広がる自動化の可能性
WordPress×Notionの自動連携は、あくまで入口にすぎません。
同じ仕組みで、以下のような応用も可能です。
- SNS自動投稿:新記事公開時にTwitter・LinkedInへ自動シェア
- Googleスプレッドシート連携:PV数・SEO評価を定期取得
- 画像生成自動化:タイトルからCanva APIやDALL·Eでアイキャッチ自動作成
- 翻訳ブログ運営:英語記事をDeepL APIで自動翻訳→WordPress英語サイトへ投稿
つまり、Makeを軸にすることで、
AI×自動化の“拡張性の高いコンテンツ運用システム”を構築できるのです。
今すぐ始められるステップ
✅ 1. Makeアカウントを作成
無料プランで十分。公式サイトから登録。
✅ 2. Notion APIトークンを取得
「Settings & Members」→「Developers」→「Integration」で発行。
✅ 3. WordPressのREST API接続を設定
アプリケーションパスワードを使って安全に連携。
✅ 4. 最初の自動化フローを作成
“Notion→WordPress”の基本構成を試作。
✅ 5. AI連携で拡張
ChatGPT APIを追加して記事生成→公開の流れを自動化。
これで、「Notionに書くだけでブログが更新される環境」が完成します。
まとめ:自動化で「記事制作の最後の壁」を超える
AIライティングやテンプレ記事生成が進化しても、
最後に人の手が必要だったのが「WordPress投稿」という工程でした。
しかし、Makeを使えばその壁を突破できます。
Notionに書くだけでWordPressに反映される仕組みは、
時間の削減・ミスの防止・チーム共有の効率化のすべてを同時に実現します。
これからのWeb運営は「書く人」ではなく「設計する人」が強くなる時代です。
Makeで自動化を設計し、あなたのコンテンツ運営を次のステージへ進めましょう。

